行き当たりばったりなプレゼント



「誕生日プレゼント何がいい?」
今日は5月5日、つまり僕の誕生日。
そのような祝い事に興味の無い自分に、しかも当日に聞くなんて。
無計画にも程がある。
「藪から棒に何?当日まで思いつかなかったからって本人に聞こうってわけ?」
「っ!………わかってるなら素直に教えて」
図星を突かれは一瞬ひるむが、すぐに切り返す。
「要らないもの貰っても嬉しくないでしょ」
「例えば?」
「コップとかお皿とか。実用性のあるからってプレゼントされても大概自宅にストックあるし。いっぱいあっても邪魔じゃん」
「………まぁそこまで嬉しくは無いね」
そこまでピンポイントで出てくるあたり、かつて自分でも同じような経験をしたのだろうか。
それならもっと消費率の高いものにでもすればいいのに。
そんな雲雀の気持ちを察してか、は続ける。
「お菓子は普段もあげられるからイマイチだし、本とか服は趣味によるし。しかも被ったら処分にも困る」
「………」
「それ以前に雲雀の好みを大して知らない」
「………」
前言撤回しよう。一応は色々と考えていたらしい。しかし見事にどれも空回りしたわけだ。
「じゃあ1日一緒にいてあげる。その間僕を観察して、好みのプレゼントを見つければ?」
「群れるの嫌いなのに?」
「妥協してあげてるんだよ。即決しないなら僕は行く」
「わっわかりました!1日雲雀を貸してください!」
慌てて了承を乞う姿に思わず笑みが零れる。
は雲雀がちゃっかり1日デートの口実を作り、且つの方から願う形にした事に気付いていない。
「じゃあ行こうか。さぁ何処へ行く?」
「うーん…無難に買い物かなー。ショッピングモールにでも行けば雲雀の好きそうなモノ見つかりそうだし」
必死にプレゼントを考えるには悪いけど、今日は僕が主導権を握らせて貰おう。
いつもは邪魔が入ってなかなか二人きりにはなれないから、今日は彼女を落とす絶好のチャンスだ。
「ふーん、見つかるといいね」
「他人事だと思ってるみたいだけど、もらうのは雲雀だから。変なプレゼントになっても知らないよ」
僕は別に「キミ」がプレゼントになってくれたらそれでも構わないんだけど。
そんな事を内心呟きながら、雲雀とはショッピングモールへと向かった。