IF
ねぇもしも。
もしかして。
貴方の隣に居てもいいよって言ってくれるのなら。
自分に試練を課して、世界と真摯に向き合おうと思った貴方の心の中に居てもいいのなら。
「好き」って言ってもいいのかな?
まだ凍てつく寒さの残るリュウラセンの塔の上。
崩れた場所から吹き荒ぶ北風は一切の容赦がない。身を切るような寒さが交叉する場所なのに、何度も足を運んでしまう。
だってここの光景は、あの城によく似ているから。
プラズマ団の夢と、ゲーチスの夢と、貴方の夢。
一緒に崩れたあの城に。
Nの夢を終わらせたのは私。
それを後悔をしてないわけじゃないし、彼の思想が正しかったのかも知れないと感じることだってある。
だけどそれを譲ってしまったら、きっと今の私は居ないから。
ねぇもしも。
もしかして。
このままの、今の、ありのままの私を好きと言ってくれるのなら。
もうなにも要らないから。
突き詰めて言うと、世界のことなんてどうでもよかった。
貴方と一緒に歩めたあの日々が、どうしようもなく楽しかったの。最後に行き着いた道の先は、正反対だったけど。
安穏な世界なんて、本当は要らなかった。
欲しかったのは、貴方の笑顔だけなの。
『―――サヨナラ』
あの時逆光で見れなかった、貴方の顔。
もし笑っていてくれたのなら―――
私は、報われたのかな。