夢をみた。
それは、とても幸せな夢。


パートナーであるポケモン達に囲まれて、彼女――は笑っていた。
一緒にいるポケモンも、皆一様に幸せそうな顔をして。
言葉が通じていなくとも、心が通じているから。
本当に、楽しそうだったんだ。

そんな様子を眺めていると、がこちらに気づいて駆け寄ってきた。

『Nも一緒に、ね?みんな遊びたいって』

差し伸べられた手。
応じれば、微笑んで導いてくれる優しい手のひら。

目を閉じれば鮮明に思い出せる。
楽しそうな笑い声。心からの笑顔。
そして、彼女の差し伸べた手の温かさ。

「………」

外はまだ薄暗い。
窓を開けると、ほんの少しだけ冬を纏った空気が頬をなでた。
夜明け前、暁の空気はどこまでも澄んでいて。

もうすぐ春が来る。
彼女……と出逢った季節。

そしてきっと、別れの季節。

遠くない未来に、僕はレシラムを従えた彼女と対峙するだろう。
全力で己の意志をぶつけ合い、理想と真実、世界の有るべき姿を証明させる。
……どちらが勝っても、きっと別れることになる。

でも、もし。

誰も認知していない不確定要素。無意識の中で芽生えたほんの少しの感情。
この想いを僕が認められたのなら。
夢のように、笑いかけることが出来たのなら。

このあやふやな想いを君に伝えよう。
例えそれが、どんな結果を導いたとしても。

ねぇーー

キミが、好きだよ